今回は、2026年4月に開催されたアプリマーケター向けコミュニティイベント「MOBILE STARS SPRING 2026」の開催レポートをお届けします。
MOBILE STARSは、アプリマーケティングに携わるマーケターが集い、現場で得た知見や経験を共有し合うコミュニティです。変化のスピードが速いアプリ業界において、実務者同士がリアルなナレッジを交換し、それぞれの現場に持ち帰れる学びを得られる場として、継続的に活動を続けています。今回で通算7回目となる開催を迎えました。
「MOBILESTARS SPRING2026」は、Adjust、Braze、Moloco、Moonplateの4社が主催。ネットワーキングディナーはMixpanel社のスポンサードによって行われ、当日は会場いっぱいに多くのアプリマーケターが集いました。
アプリ外課金「構築」の次に来る「グロース戦略」 〜メディア×データ×グローバルでアプリ外課金収益最大化へ〜【株式会社デジタルガレージ/Adjust株式会社】
最初に登壇いただいたのは、株式会社デジタルガレージ アプリペイ事業部の丸山恭平さん、そしてMCを務めたAdjust株式会社の谷口健二さんです。2025年12月18日にスマホ新法が施行され、「アプリ外課金」が一気に注目テーマとなった2026年。国内初のアプリ外課金サービス「アプリペイ」を展開するデジタルガレージから、最新トレンドとグロース戦略についてお話いただきました。

「アプリ外課金というと、どうしてもゲーム向けの話というイメージが強いと思うのですが、実はいま漫画・マッチング・投げ銭といった非ゲームジャンルにも導入が広がってきているんです」と切り出した丸山さん。ライブドアマーケティング、ドリコムでのアプリマーケティング業務を経て、2022年11月にデジタルガレージへ入社。「決済とマーケティング、両方の知見を掛け合わせて新しい何かを作れないか」という構想が、アプリペイ事業立ち上げの起点になったそう。日本国内では最も早期からアプリ外課金ビジネスに着手してきた先駆者のひとりです。
デジタルガレージは、決済代行・マーケティング・投資の三事業を主軸に展開する企業。なかでも決済代行は国内3番手で、年間取扱高は7.5兆円規模。アプリペイは、その決済の知見を「アプリの外側」へ応用するサービスとして生まれました。
仕組みはシンプル。アプリ内課金の場合、AppleやGoogleに30%の手数料が引かれるところ、アプリペイ経由ならクレジットカード手数料の5%のみ。差し引き25%分が事業者の利益として残る計算になります。現在導入実績は60タイトル超、契約ベースでは100タイトル以上にのぼります。平均40%、最大で70%ものユーザーがAppleやGoogleを介さず「アプリの外側」で課金している実績もあるといいます。

アプリペイの活用形態は大きく3つ。1つ目は、自社SNSなどから誘導する「公式ストア型」。2つ目は、楽天やAmazonのように複数のデジタルコンテンツが集まる「モール型」。そして3つ目が、国内のIPを海外向けに配信する「グローバル展開」で、現在65カ国に対応。納税や法令対応もすべてデジタルガレージ側で代行するため、事業者はサービス運営に集中できる仕組みになっています。

このきっかけになったのは、米国エピックゲームズの裁判によるGoogle Playの規約変更。「アプリの外で課金すること自体は問題なさそうだ」と社内および外部弁護士に確認し、サービス化に踏み切ったといいます。
「正直、スマホ新法は成立しないと思っていたんです」と振り返る丸山さん。「政治全体がゴタゴタしていた時期で、本当に成立するのかなと話していたのですが、いざ施行されたら一気にアプリ外課金の施工数が増えていきましたね」。

「これからアプリ外課金を始めようというときに、自社で構築するか、外部サービスを使うかで迷われる方が多いんですね」と谷口さん。丸山さんは、自社構築で見落とされがちなコストとして、運用人員、サーバー保守、CS体制、そして特に海外納税の煩雑さを挙げます。「韓国は現地で納税しなければなりませんし、米国は州ごとに税率が違う。これを自社でやろうとして、結局無理でしたという声を本当によく聞くんです」。

一方で、自社IDを集めてユーザーコミュニケーションを設計したい大手ゲーム会社では、自社ショップを構築しつつアプリペイを併用するパターンも増えてきているとのこと。「どちらかを選ぶというよりは、両方を上手く組み合わせていくのが現実的かなと思います」と丸山さん。手数料率の比較でも、クレジットカードのみで数%、キャリア決済でも特別料率が用意されているため、合計コストでは多くのケースでアプリペイ側に分があるそう。
非ゲームでの導入も着実に進んでいます。漫画、マッチング、投げ銭——どのジャンルでも、Apple/Googleの30%手数料を回避したいというニーズは共通。「特に多くいただくご要望が、サブスクへの対応です」と丸山さん。1ヶ月、3ヶ月、12ヶ月と多様なパターンがあるサブスクですが、現時点で1ヶ月サブスクは対応済み、その他のパターンも今夏までに開発完了予定とのこと。
今後の展開を丸山さんに伺うと、これまでデジタルコンテンツに限定されていた取扱品目を、今後はグッズやイベントチケットなど物販領域にも広げていく方針だといいます。「IPビジネスにとって、グッズ展開は新しいマネタイズの軸になります」と丸山さん。一部のクライアントでは、すでに投票ゲーム内でTシャツ販売を実装し、来場時に受け取れる導線を設計した事例もあるそうです。
そしてもう一つの大きなアップデートが、Adjustとの2026年3月からの連携です。「これまではアプリ内の数字でしかROIが測れませんでしたが、設定をいただければアプリ内課金とアプリ外課金を合わせた費用対効果が測れるようになります」。アプリペイ単体ではなく、計測ツールと組み合わせて初めて見える「真のグロース」へ——その入り口に立った実感が、丸山さんの言葉から伝わってきました。
0から1年で300万DL。レッドオーシャンで爆伸びする「おぢポ」の裏側と今後の野望【ポイポイ株式会社/Braze株式会社】
続くセッションは、ポイ活アプリ「おぢポ」を運営するポイポイ株式会社 代表取締役 福田和生さんと、MCを務めるBraze株式会社の佐藤洋介さん。リリースから約1年で累計300万DL(取材時点で350万DL超)を達成した、爆伸びアプリの裏側に迫ります。

「おぢポ「おぢポ」は、歩いて貯まるポイ活アプリにキャラクター育成要素を組み合わせた、独自のコンセプトを持つサービス。布団から始まる謎の「おじさん」が、ユーザーの行動とともに育っていく仕組みです。2025年1月のリリースから約1年強で、累計DL数はすでに350万を超えています。会場内にも「おぢポ」のユーザーがちらほら!

福田さんは、株式会社ALBONAの執行役員を兼任しており、これまで手がけてきたのはコスメ、オンライン学習塾、美容クリニックなど多様な業種に対する広告代理業。
「アプリ事業はおぢポが初めてなんです。友達と『なんかおもろいことやろうよ』って話していて、彼が『アプリやろうぜ』って言うから『いいよ』って答えた、それくらいのノリで始まったんですよ」――。会場は笑いに包まれました。

リリース直後の半月から1ヶ月は伸び悩み、福田さん自身も「コスメと同じ見方では通用しないな」と模索する日々だったそう。最初に跳ねたのは、リリースから約1ヶ月後。「ここで『あ、いけるんや』って手応えをつかんだのが大きかったですね。チームの勢いも一気につきました」。

その後、テレビからの取材依頼があった時は非常に手応えがあったといいます。「インスタのDMから連絡が来て、最初は『これ本当に?』って疑ったぐらい(笑)。3分間の特集中にCMを2回挟んでいただいて、放送後の余波も含めて約8万DL。その後、広告のCVRも改善しました」。今も、テレビで取り上げていただける機会はないかと知り合いのテレビマンに掛け合うなど、マスに見せるマーケは多く取り組んでいます。
エピソードを聞いていると、勢いよく、順風満帆に進んでいるように見えますが、その裏には広告代理業で培ったクリエイティブPDCAのスピード感がありました。「広告媒体ごとに特徴があるので、検証なら最初はメタを使う、といった前提知識は元々の知見を活かしています」。

おぢポの強さは、コンセプトのユニークさだけではありません。福田さんが繰り返し語っていたのは、「ユーザーが稼げることが第一」という哲学でした。
その上で、稼ぐだけではない楽しさも設計に組み込まれています。おじさんキャラクターの育成、図鑑のコレクション、課金不要の遊び要素——「稼ぎたい人には稼ぎ口を多く、なんとなく面白そうで触ってくれた人にも続ける理由を」と福田さん。実際、若年層から主婦層、さらには「57歳の母も可愛いと言ってくれている」とのことで、想定よりも幅広い年齢層にリーチしているといいます。「ヒルナンデスで取り上げていただいた際も『中学生の子供と親子でやってます』というユースケースで紹介されて、年齢層が一気に上下に広がりました」。

福田さんが最後に語ったのは、急成長フェーズならではの組織運営観でした。「『リテンション改善してから獲得』が定石としては正しいんですが、それを待っていると時間が足りない。だから、獲得側とプロダクト改善側で殴り合うくらいの緊張感を持たせています。お互いプレッシャーをかけ合うことで、両方が同時に前に進む状態を作っているんです」。
ポイ活市場はレッドオーシャンと言われがちですが、おぢポのマーケ運用には「定石を踏まえつつ、定石にとらわれない」軽やかさが感じられた時間でした。
オンライン時代の「横のつながり」を作る! ネットワーキングシーンを一部ご紹介
会場を移してのネットワーキングでは、登壇者を囲む輪が自然と生まれ、深掘りの質問や名刺交換、相談の声が飛び交います。お食事とドリンクを片手に、参加者同士の対話も活発で、本イベントが「学び」と「つながり」の場として機能していることが、改めて感じられる時間でした。


なごやかに「最近のアプリマーケ、どんなことやってる?」という会話はあちこちから聞かれました。みなさんが情報共有の場として、惜しみなくTipsを共有されているのが印象的な場です。

また、「次うちとこんなことやってみない?」という真剣なビジネスの会話に発展するシーンも。

MOBILE STARSは、参加者を募集しています!
MOBILE STARSは、アプリマーケティングに携わるマーケターが集い、現場で得た知見や経験を共有し合うコミュニティです。本イベントのように、第一線で活躍する登壇者によるセッションと、参加者同士のネットワーキングを通じて、明日からの実務に活かせる学びと新しいつながりを得られる場を、定期的に開催しています。
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